研修について

MEDICAL TRAINING

TOP  / 研修について

大分大学精神神経医学講座の研修概要

ストレスがかかったときにうつ病が起こるという話は、半分正解で、半分間違いです。ストレスが原因で落ち込むのは適応障害であり、ストレスが誘因で落ち込むのがうつ病なのです。この区別はなかなか難しく、経験を積むことが必須です。ストレスがないのに落ち込んだ患者さんを診察させていただくことで、病気としてのうつ病が見えてきます。他方、経験によらない自由な発想こそが診断や治療を進歩させるということも真です。

当科は、若い方々の自由な発想や意見を尊重しています。古い考え方やしきたりを捨て、より柔軟に、若い先生方と一緒にがんばっていきたいのです。研修医のみなさん、ぜひ当科の門を叩いてみませんか。

大分大学医学部精神科 後期研修の特色

精神科医として専門的な修練を行う

後期研修では、1年目に「レクチャー(クルズス)」といって各専門分野の勉強会を行います。
週に1度、抄読会を開催し、英語論文を訳し、最新の精神医学の知識や情報を勉強しています。座学を通じ、専門的な知識をじっくりと身につけることができます。

上級医の指導のもと、代表的な精神疾患を確実に診療できるようになる

まずは上級医のもとで、マンツーマンの指導を受けていきます。各自の適性に合わせて指導を行いますが、1年目は病棟勤務、2年目からは担当医として外来で再来の患者さんを診たりと、幅を広げていきます。
1〜2年目は上級医が主治医となり、薬物療法、精神療法、家族や地域とのかかわりを間近に学んでいきます。専攻医が孤立して治療にあたることがないよう、チーム医療体制が整っています。

リワークデイケア、リエゾン・コンサルテーション、緩和ケアの診療も経験できる

他科との連携(リエゾン・コンサルテーション)、緩和ケアの診療など幅広い分野での経験ができます。また大分大学精神神経医学講座の特色のひとつとして「リワークデイケア」(うつ病で休職した患者さんを支援する復職プログラム)があり、他大学では珍しい分野も学ぶことができます。

精神保健指定医や専門医取得をサポートする

3年間各専門領域について研修を行ったあとは、精神保健指定医と日本精神神経学会認定専門医取得を目標としています。
週に1度の勉強会、レポートや学科試験、面接等の指導をはじめ、精神保健指定医・日本精神神経学会認定専門医のどちらも取得できるように、全力で先輩医師がサポートしています。

連携施設とともに精神科医を育てる

大分大学医学部附属病院精神科、別府医療センター精神科、大分県立精神医療センターが三位一体となり、地域の連携病院とともに精神科医を育てていきます。

研究マインドを育てる

自分が受け持った患者さんの症状や経過、治療反応性や副作用など、丁寧に診させていただく過程において、通常と異なる現象が見えてくることがあります。そのときに、関連する文献を収集し読み込むことで、今までに報告されていない新知見(Neuesノイエス, new findings)であることが確認できるかもしれません。その時に、患者さんの同意を得て、症例報告として学会発表や論文作成を行うことが、臨床研究の第一歩となります。

私(寺尾)が師事した産業医大精神医学教室の阿部和彦初代教授は、症例報告をとても大切にされていました。ロンドン大学のMaudsley Hospitalに留学され、British Journal of Psychiatryの当時の編集長であったSlater教授のもとで、世界中から送られてくる論文を下読みして質の高いものはSlater教授に回し、質の低いものは即座にrejectしていたというお話もうかがったことがあります。それほど、鑑識眼がおありであったということです。阿部先生は、常々、患者さんの訴えをとても大事にされ、必ずカルテに具体的に記載されていました。興味深い症例は、すぐに文献検索をされ、何がNeuesなのかを見抜いた上で英文論文を執筆され、翌日には海外雑誌に投稿されていました。「研究は、紙と鉛筆があればできます」が口癖でした。

私も今まで多くの症例報告を書いてきましたが、書くことで患者さんから学んだことを再整理でき、その患者さんを通して得られた新知見を、他の患者さんに生かす。そのために、学会発表や論文とくに英文論文にまとめる。そうすることで、広く世界に知らしめ、精神医学や精神医療に貢献するという意義があると考えます。症例報告はすべての臨床研究の基礎であるとも考えています。

大分大学医学部精神科
後期研修プログラム

原則として、 1~2 年目に大分大学医学部附属病院精神科をローテートし、精神科医としての基礎を固めていきます。

専攻医は精神科領域専門医制度の研修手帳に従って、以下の専門知識を習得していきます。
研修ガイドライン(総論)にある、

  • 1.患者及び家族との面接
  • 2.疾患の概念と病態の理解
  • 3.診断と治療計画
  • 4.補助検査法
  • 5.薬物・身体療法
  • 6.精神療法
  • 7.心理社会的療法など
  • 8.精神科救急
  • 9.リエゾン・コンサルテーション
      精神医学
  • 10.法と精神医学
  • 11.災害精神医学
  • 12.医の倫理
  • 13.安全管理

各年次の研修概要

基礎の基礎を学ぶ。

上級医のもとで、マンツーマンの指導を受けていきます。まずは病棟を担当し、リエゾン・コンサルテーション(他の科と連携し、サポート)に携わっていきます。面接の仕方や患者さんとのかかわり方、毎日のカンファレンスや毎週の回診などでプレゼンテーションを行い、指導医や診療科長などから指導を直接受けて治療方針を学んでいきます。 また、1年目には「レクチャー(クルズス)」があり、各分野を座学で学んでいきます。

自分で治療方針を考え、
チャレンジ。

1〜2年目は、病棟で精神医学の基礎を学ぶと考えてください。ただし2年目からは、退院した病棟の患者さんを外来で診たりと、病棟以外の部分にも携わっていきます。主治医はあくまでも上級医ですが、このころから治療方針を自分で考えたり、チャレンジしていく時期になります。神経症性障害、パーソナリティ障害、薬物依存、思春期症例など幅広い疾患を担当し、多くの診断・治療を行えるように学んでいきます。

主治医としてデビュー

3年目にはいよいよ指導医から離れ、主治医として診療をしていくことになります。外来症例や入院症例も単独で担当し治療を行っていきます。
入局から3年後には精神保健指定医・精神神経科学会専門医資格取得を目指した準備も進めていきます。レポートは複数の先輩が添削し、筆記試験や面接試験も丁寧に指導します。

専門医研修プログラム

連携病院での研修

後期研修の期間内は、大分県内の連携施設で1年間の研修を行います。連携施設の思春期症例や認知症症例、地域精神医療などの特色ある分野でそれぞれの指導医・上級医の指導のもと治療などに参加します。
総合病院(大分県立病院精神科医療センター、別府医療センター)をはじめ、特色ある分野に特化した連携施設が多数あり、専攻医のニーズに応じた研修を行えます。

連携施設・病院